共振器法 誘電率測定 技術概要

原理と利点

共振器法では、測定試料を共振器に入れたことによる共振の変化から材料パラメータを求めます。周波数の変化から誘電率が、Q値の変化から誘電損が求まります。 低損失試料の挿入によるわずかな損失変化も、大きなQ値の変化をもたらすため、正確に評価できることが大きなメリットです。

共振器法技術概要

共振器法は、測定周波数に応じてさらにいくつかの手法に分類されます、以下に、弊社が提供する各種共振器を特徴づける要素技術を説明します。

1 GHz測定のスタンダード空洞共振器 CPシリーズ

CPシリーズでは空洞共振器に生じるTM010/020モード共振を用いて1 GHzから10 GHzの誘電率を測定します。 この共振では円筒の中心部が電界最大部にあたり、そこに棒状の試料を入れることにより試料に沿った直線の電束を使用して 誘電率を測定します。試料を切り出す方向を変えることで異方性を評価することが可能です。

空洞共振器法技術概要

高周波に強いススプリットシリンダ CRシリーズ

共振器を中央で分割(スプリット)して、板状の試料を挟んで測定する方法は、スプリットシリンダ共振器法として知られて います。CPシリーズと比べて高周波の特性に優れており80 GHzまでをカバーします。 CPシリーズの場合、試料内の電束の両端に生じる不完全さにより測定誤差を生じます。この影響は試料が小さくなる高周波でより顕著です。 スプリットシリンダではTE011モードの共振を使用しますが、電束が試料面内を循環するため 「端」による悪影響がなく高周波まで正確な測定が可能です。

スプリットシリンダ技術概要

330 GHzまで周波数多点測定を可能にするファブリペロー共振器 FPシリーズ

FPシリーズでは開放型の共振器に生じる直線偏波のTEMモードを使用します。330 GHzというような高周波でも 実用的な大きさの治具で実現できることが第一のメリットです。(CRシリーズの延長戦上で この周波数を実現するためには直径1mmたらずの円筒共振器を精度よく作る必要があります。) 誘電率測定に好適な共振が幅広い周波数範囲に複数生じることも重要な特徴です。これをうまく活用することで 一つの治具で誘電率の周波数特性を評価することが可能になります。 また、直線偏波を使用していますので、試料を回転させることにより異方性が評価できます。

ファブリペロー共振器技術概要