Sパラメータ法 誘電率・透磁率測定 技術概要

測定対象の材料を含む伝送路のSパラメータを元に誘電率・透磁率を求めることができます。 材料を自由空間に設置して測定するフリースペース法と、同軸線路や導波管などの閉じた空間に材料を挿入して測定するサンプルホルダー法に大別されます。 いずれも材料の周波数特性を評価するのに最適です。また、損失の比較的大きい試料やフィルム状に加工することが難しい試料の測定に有効です。
一方で、損失測定の精度がネットワーク・アナライザの測定精度に直接依存するため低損失材料の評価には制限があります: Tanδ0.01あたりが測定限界の目安です。(低損失材料の評価には共振器法が有効です。)
Keysight材料測定スイート N1500Aと組み合わせることで、効率的で信頼性の高い材料測定が行えます。 N1500Aは、さまざまなアルゴリズムに対応していますが、その中でも代表的なものを以下に示します。

N1500Aモデル名測定
Sパラメータ
材料
パラメータ
概要
Reflection/
Transmission
Mu and Epsilon
Nicholson-
Ross-Weir
(NRW)
S11, S21,
S12, S22
εr  μr NicholsonとRossによって開発され、のちにWeirによって、Sパラメータから誘電率と透磁率を計算するためにネットワーク・アナライザに適用されました。 半波長を超える厚さの低損失サンプルで は不連続部が生じる可能性があります。 フェライトや電波吸収体などの磁性材料 の評価に最適です。
Reflection/
Transmission
Epsilon
Precision
NIST
Precision
S11, S21, S22 εr Sパラメータから誘電率を計算するため に、NISTによって開発されました。比較的厚みのある低損失誘電材料サンプル に最適です。
Transmission
Epsilon Fast
Fast
Transmission
S21, S12 εr 誘電率を予測し、その予測値から計算されるSパラメータと実測値の差が、所定の値より小さくなるまで最小化を繰り返します。 S21とS12、またはその平均値を使用します。比較的厚みのある低損失 誘電材料や、反射測定の顕著な誤差が避 けられない場合に最適です。